about

TECH PLANTERとは何か

INDEX
  1. 01日本には研究開発型ベンチャーのエコシステムがなかった。
  2. 02ベンチャー育成に大企業の参画が欠かせない本当の理由。
  3. 03研究だけでは「モノ」はできない。しかし日本には町工場がある。
  4. 04なぜTECH PLANTERは常識はずれの小口投資を実施するのか。
  5. 05ディープテックを探究し、ディープイシューを解決する。
  6. 06これまでの活動実績と主なメディア掲載
01

日本には研究開発型ベンチャーのエコシステムがなかった。

2000年代の日本のベンチャーに起きたこと。

2001年、経済産業省が『大学発ベンチャー1000社計画』※1を発表しました。日本の産業競争力の強化を目的に、研究成果の事業化を積極的に推進し、3年間で1000社のベンチャー創出を目指すという内容です。結果的に、大学発ベンチャーの数は2004年度末に1207社に到達。数値的には、一定の成果を挙げることとなりました。

この動きをさらに後押しすべく、2006年には改正会社法が成立し、法人設立のハードルが大きく下がります。いよいよ日本にベンチャー時代が到来する。誰もがそう期待しました。しかし実際には、その後10年間の大学発ベンチャーの増加ペースは低迷しました。なぜか。今となっては、その理由は明らかです。

ベンチャーは存在しても、ベンチャーを育成できるシステムが存在しない。ハンズオンや産学連携のキーワードはあっても、そのノウハウが伴わない。単発の成功事例はあっても、点を線につなぐ動きがない。したがって再現性が生まれず、大学発ベンチャーが大きな流れを形成するまでには至らない。これが日本の2000年代でした。

シリコンバレーのインキュベーションはなぜ成功したのか。

その一方で、同じタイミングでベンチャーが大躍進したのがアメリカです。西海岸のシリコンバレーを中心に、ITベンチャーの成功者が自らの個人資産を「次世代の育成」に投資し、短期間で彼らを成長させるシードアクセラレーターモデルを構築します※2

拠点となるインキュベーションスペースでは、若いベンチャーはもちろんのこと、ベンチャー出身のインキュベーター、大企業、金融機関、地方政府機関など、多種多様な人材が混ざり合い、次々に新たなスターが輩出されていく。まさにベンチャー育成のエコシステムがそこにはありました。

同じシステムを、日本でも構築しなければならない。しかも、すでに流れが出来上がったITベンチャーではなく、日本の強みが生きる研究開発型ベンチャーの領域でこそ、ベンチャー育成のエコシステムをつくらなければならない。そうしなければ、日本の未来はない。その危機感こそが、テックプランターの始まりでした※3

02

ベンチャー育成に大企業の参画が欠かせない本当の理由。

あらゆる大企業は「元ベンチャー」である。

アクセラレータープログラムへの大企業の参画理由としては、一般的には「カネ」を中心とする説明がなされます。大企業は自社の関連領域への先行投資としてベンチャーを支援する。ベンチャーはその資金支援によって成長する。双方の利益の合致。Win-Win。しかしTECH PLANTERでは、この考えを採用していません。

TECH PLANTERが大企業に最も期待しているのは、「元ベンチャー」としての知見です。あらゆる大企業は、最初から大企業だったわけではありません。崇高な創業精神を掲げ、まだ世界に存在しない事業をつくりだすことで成長してきた大企業には、自らの経験としてベンチャー育成の秘訣が内面化されているはずです。その知見を、次世代の育成のために活用させてほしい。これこそが、TECH PLANTERが大企業の参画に期待する最大の要素です。

大企業がヒトとして参画し、ヒトとして成長するエコシステム。

大企業が自らの源流を振り返り、その知見を若いベンチャーに共有するプロセスには、大企業自身にとっても新たな成長の契機があるはずです。ベンチャーが抱く未来への視点と、自らの源流を追体験するリフレクションを掛け合わせることによって、大企業にも新たな事業創造のきっかけが生まれる。私たちは、そうした場を確立してきたいと考えています。

その意味では、TECH PLANTERに大企業が参画する理由は「ヒト」だと表現できます。大企業の「ヒト」としての知見を若いベンチャーに共有し、そのプロセスを通じて大企業自身も「ヒト」として新たな成長をしていく。つまりはそれが、TECH PLANTERがエコシステムである所以でもあるのです。

03

研究だけでは「モノ」はできない。しかし日本には町工場がある。

知識の社会実装には、ものづくりが不可欠だ。

大学には知識がある。しかしその知識と社会との間には大きな溝があり、両者が接続されていない。この課題意識こそがリバネスの設立理由であり、TECH PLANTERもその延長線上に位置付けられます。では、知識を社会に接続するためには、つまり知識の社会実装を行うためには、何が必要でしょうか。それが「ものづくり」です。

研究開発型ベンチャーは、最先端のテクノロジーやアイデアを持っています。しかし、それを実際に形にすることができなければ、社会に役立てることはできません。そして従来は、ベンチャーがものづくりを相談できるカウンターパートは存在しませんでした。

日本の製造業を世界に押し上げた町工場の気概。

ここに名乗りを上げたのが、墨田区の町工場である浜野製作所です。「ベンチャーのビジョンを理解し、具体的なものづくりを提案する」ことを実践し、今や大躍進を遂げているオリィ研究所やWHILLのプロトタイピングを手掛けました。昭和の時代の町工場が日本の製造業を世界へと押し上げたように、これからの町工場はベンチャーをものづくりの力で支えていく。浜野製作所の根底にあったのは、町工場としての気概だったのです。

現在、この取り組みは東京・大阪・栃木の町工場6社によるスーパーファクトリーグループに発展し、プロトタイピングだけでなく100-1000個単位での量産体制を構築できる環境が整っています。さらにPoCの拠点としてのセンターオブガレージが立ち上がり、ニッチトップメーカーや大企業の参画による製造・テストマーケティング面での支援も充実しつつあります。テックプランターはこれらの強力なパートナーによって、ベンチャーのものづくりを支援し、次なるステージへと後押しする機能を獲得したのです※4

04

なぜTECH PLANTERは常識はずれの小口投資を実施するのか。

成長の時間軸が異なれば、必要な資金調達も変わる。

研究開発型ベンチャーの成長には、少なくとも10年規模の時間を要します。立ち上げからの数年で運命が決まるIT系ベンチャーとは、そもそもの時間軸が異なるわけです。そのため、研究開発型ベンチャーにとっては、ビジネスプランコンテストに「最初の一歩」以上の意味合いはありません。TECH PLANTERがコンテストではなくDemo Dayという名称を使う理由はそこにあります。

時間軸が異なる以上、研究開発型ベンチャーに必要な資金調達についても、IT系ベンチャーと同列に語ることは不可能です。より具体的にいえば、研究開発型ベンチャーにとっては立ち上げからシードステージに至るまでの初期段階において「小さく、細かく、多く」という適時適切な支援が求められます。

500万の呼び水が、年間100億以上の調達につながっていく。

TECH PLANTERのエコシステムにおいては、従来は存在しなかった初期の小口投資の役割をリバネスキャピタルグローカリンクが担い、その後のシードステージをリアルテックファンドやその他のVC/CVCが担うというシームレスな体制が整っています。

IT系ベンチャーの文脈では合理性が見出しづらい500万円程度の小口投資を初期に行うことにで、立ち上げのタイミングでの研究開発型ベンチャーの成長を下支えし、その後の資金調達の呼び水とする。この投資戦略が功を奏し、2021年現在では、テックプランター出身ベンチャーが直近1年間で合計100億円以上の資金調達を行うに至っています※5

05

ディープテックを探究し、ディープイシューを解決する。

研究者的思考によって発掘される「ディープイシュー」。

TECH PLANTERに集うベンチャーには、共通した特徴があります。それは、彼ら彼女らが、自らが設定した課題と問いの解決に向けて、すなわち課題解決そのものを事業としてテクノロジーとビジネスの開発に取り組む人々だということです。

すべての研究者は、常に「世界初」に取り組むことを存在意義としています。そしてそのモチベーションは、常に個人的なQuestionに端を発します。「なぜだろう」というシンプルな思いが、いつしか目の前の課題を深く追求していく生き方へと昇華し、それが結果的に世界的な発見へとつながるのです。

そのような研究者的な思考によってのみ発掘しうる深化された課題のことを、リバネスは「ディープイシュー」と定義しています。つまりTECH PLANTERとは、ディープイシューを掲げる人々の集まりなのです※6

「知識製造」と「ディープテック」。そして世界の未来へ。

今、世界は解決すべき課題に溢れています。これまでのやり方では、もはや人類の未来はない。そうした危機感が現実味を帯びつつあります。この状況を瞬時に逆転できる魔法は、おそらく存在しません。しかしディープイシューを一つ解決することができれば、その先には「ディープイシューが一つ解決された未来」が生まれます。私たちは、このやり方で、新たな未来をつくりだしていきたいと考えています。※6

では、ディープイシューの解決は何によってもたらされるのか。それがテクノロジーです※7。単一の技術である必要はありません。複数のプレイヤーが自らの情熱とテクノロジーを持ち寄り、それを組み合わせる「知識製造」を重ねることで課題解決へと前進していく。こうしたテクノロジーの集合体のことを、リバネスは「ディープテック」と定義しています。

2021年現在、TECH PLANTERは7分野のディープイシューを設定し、その活動は日本全国のみならず、東南アジア6カ国、そして世界へと広がっています。Exploring Deep Tech & Solving Deep Issue. 世界のディープテックを探究し、世界のディープイシューを解決する。TECH PLANTERとは、そのためのエコシステムなのです。

06

これまでの活動実績と主なメディア掲載

2023年10月1日時点での活動実績

  • TECH PLANTER 延べエントリー数(国内): 2,192チーム
  • TECH PLANTER 延べエントリー数(海外):1,371チーム
  • 地域TP 延べ開催地域数・エントリー数:17地域・1,414チーム(2022年度まで)
  • TECH PLANTER出身ベンチャーによる資金調達額の推計:750億円以上

主なメディア掲載

官庁系

メディア

CONTACT

Reference
  1. 経済産業省ウェブサイト「大学発ベンチャー」内「大学発ベンチャー1000社計画」に記載あり
  2. 代表例としてY CombinatorPlug adn Playなど
  3. 丸幸弘, 畑中隆, 松原尚子(2016). 「勘違いする力」が世界を変える. 97-106.
  4. 製造業も知識を売る時代へ. 創業応援 vol.18, 11-16
  5. エコシステム、8年目の現在地. 創業応援 vol.22, 20-21
  6. TECH PLANTER 6年目の再定義. 創業応援 vol.15, 20-25
  7. テクノロジーの定義について、現時点でTECH PLANTERでは次のように定義しています。「テクノロジーの本質は変化そのもので、①それ自体が変化していき、また②それによってしか引き起こされない変化があるもの、がテクノロジーであると考えています。」