ディープテック – 宇宙すらも利用して地球や人類の課題を解決する –

2024/03/14
INDEX
  1. 01宇宙産業が身近な存在になってきた
  2. 02QuestionとPassionで「知識製造」を加速させる

ディープテックグランプリ2023 審査員長あいさつより

株式会社リバネス 代表取締役社長CCO 井上 浄

宇宙産業が身近な存在になってきた

皆さん、こんにちは。
毎年、テックプランターを7つの領域別に実施しています。ディープテックからスタートするため、いつも最初にこうして審査員長としてあいさつさせていただいていますが、それも今回が最後になると思います。来年、私は新しい領域を立ち上げようと思っています。そのため、ディープテック領域の審査員長として今日、存分にお伝えしたいことを話させてください。

お伝えしたいこと、それは「宇宙」です。唐突に聞こえるかもしれませんね。なぜ宇宙なのか。皆さんは、宇宙という分野をどのように捉えていますか?我々がリバネスを立ち上げた21年前は、宇宙はフロンティア領域であり、夢を持って宇宙に行こうという話が多くありました。

しかし今、宇宙産業、スペーステック産業と呼ばれるものは、もう我々の身近に来ています。例えば先日、株式会社ispaceという宇宙ベンチャーが上場しました。時価総額1,300億円という数字は、宇宙への期待感を表しています。つまり、今や宇宙すらも地球や人類の課題解決のためのディープテックになってきた。そんな時代が来ているということです。

QuestionとPassionで「知識製造」を加速させる

この新しい時代に我々がやっていかなくてはならないことは何か、リバネスは常にそのことを考えながら活動しています。そんな中で、リバネスは今年、コーポレートブランドをアップデートしました。

これまで我々は「知識プラットフォーム」を構築してきました。10年後の仲間たちを作ろう、研究の面白さを伝えようという思いで2002年にリバネスを設立。以来、共に働く仲間、研究する仲間、事を仕掛けるさまざまな企業の仲間たちを集めて、誰よりも汗をかいて、このプラットフォームを作ってきました。今も拡大しています。

構築してきたこのプラットフォーム上で、今度は知識を集め、知識と知識をつないで新しい知識を作っていく。そしてそれを未解決の課題解決のために使っていく。そういったことをやろうと考えています。これを「知識製造業」と名付け、2023年の6月にリバネスはコーポレートブランドを「知識プラットフォームのリバネス」から「知識製造業のリバネス」へ刷新しました。

新時代でやるべきことは知識製造です。我々は知識製造を生業にしてこれから大きく発展していきたいと思っています。「知識製造」は我々が作った言葉です。これをビジネスにして、持続可能にしていきたいと思っています。だからこそ、このテックプランターで仲間を集めます。パートナー企業、サポーターの企業、そして今日発表するファイナリストの皆さんもそうです。

ご存知の通り、世界には未解決の課題がまだまだ山ほどあります。ファイナリストの皆さんはきっと大きな課題を掲げ、それを解決するための方法をプレゼンテーションされると思います。一方で、こういった未解決の課題はひとつの技術ではなかなか解決できない。だから、未解決の課題、すなわち「ディープイシュー」を、科学技術の集合体「ディープテック」で解決する。これを実現する場がテックプランターです。

テックプランターはビジネスコンテストではありません。我々は未解決の課題を解決しにいきたい。ファイナリストの皆さんたちも、ここで科学技術の集合体をつくり、課題解決に突き進んでほしい。リバネスのメンバーはファイナリストの皆さんと一緒に知識製造をしたいと思い、その覚悟をもって今日ここに来ています。

テックプランターには、国内だけですでに2,000チーム以上、東南アジアからは1,300チーム以上がエントリーしています。動く資金が大きくなり、それに伴いできることが増え、規模もどんどん大きくなってきました。この場で科学技術の集合体をつくり、ディープイシューを解決しにいきましょう。

では、参加している皆さんが課題を解決し世界を変えるために必要なことは何か。それは課題感(Quesution)と情熱(Passion)です。世界と真剣に向き合い、そこから見出してきた課題感=クエスチョン、そして、自分たちこそがそれを解決するのだという情熱=パッション。この2つが、スタートを切るときに極めて重要であり、そして行動指針になります。

ファイナリストの皆さん。今日は、自身の思い、なぜ会社を立ち上げたのか、何を解決したいのかという問いと、それを自分たちがやるんだという情熱を、ぜひぶつけてください

審査員の皆さん。自身の直感を信じてこの知識製造の現場に飛び込んでください。我々もチームの一員です。ファイナリストの発表を評価するのではなく、それを受けて我々が何ができるのかを真剣に考える審査員一同でありたいと思います。

そしてリバネスのコミュニケーターのみんな。知識製造業で世界を変えるためにリーダーとなるのは我々です。リーダーシップを持って、世界を変えるプロジェクトをここから生んでいきましょう。

新時代がいよいよ来ています。新しいディープテックを本当にここから作れると私は確信しています。今日このディープテックから始まる7領域のテックプランター。ここで知識製造を進めていきます。皆さん本日はどうぞよろしくお願いします。